視聴データの公開にこれまで消極的だったNetflixが12月にほぼ全てのタイトルの視聴データを公開した。題して「What We Watched: A Netflix Engagement Report」。2021年以降、毎週の「トップ10」コンテンツは発表してきたが、今回のような全面公開は初めて。今後はこのリポートを年2回リリースするという。
Netflixの発表によると、リポートは23年1―6月のコンテンツごとの視聴時間に加え、そのコンテンツの公開日や配信されている国などを明記。初リポートがカバーするコンテンツは延べ1万8,000タイトル以上 (全コンテンツの99%)、視聴時間にして1,000億時間以上。「ほぼ60%のタイトルが毎週発表しているトップ10リスト入りしているもの。今回のリポートは広範囲にわたるとはいえ、これまでのトップ10リストが示すトレンドとほぼ同じ」との注釈もつけている。
リポートによると、2023年前半最も視聴されたタイトルは、Netflixオリジナルシリーズ『ナイト・エージェント』シーズン1の8億1,210万時間。ホワイトハウス地下の ‟鳴ることのない電話‟の警護にあたるFBIエージェントの物語だ。映画のトップは、同じくオリジナルでジェニファー・ロペス主演のアクションスリラー『ザ・マザー』の視聴時間2億4,990万時間だった。
今回のデータ公開が行われたのは、脚本家組合(WGA)と映画俳優組合(SAG-AFTRA)のダブルストライキが終わったタイミング。ダブルストライキの交渉では配信視聴データに基づく報酬のあり方も大きな論点になり、Netflixはデータの閉鎖性が激しく批判された。このため、このタイミングでの公開はストライキが直接の引き金になったという見方もある。ただ、WGAの新規契約内容 には「配信サービス各社はコンテンツ視聴データを公開しなければならない」とあり、Netflixはいずれかの段階で公表せざるを得なかった。Netflixのテッド・サランドス共同CEOは記者会見で「結果的にそうなっただけ。より透明性のあるデータ公開は、社内でこれまでずっと検討されてきた」とストライキの関連性を否定している。