NHKのインターネット配信を必須業務とする改正放送法を踏まえ、総務省は、7月9日に「放送法施行規則の一部を改正する省令」(以下、省令)および「日本放送協会の任意的配信業務の実施基準の認可に関するガイドライン」(以下、ガイドライン)の両案を公表し、意見募集を行った。
省令は、▼見逃し配信の期間は番組の放送から1週間後の同時刻まで、▼番組関連情報の業務規程には業務の種類や内容、配信にかかる費用規模を含む実施方法などを記載する――などを規定した。ガイドラインは、NHKオンデマンドなどの任意的配信業務の審査基準などを法改正を踏まえて整理した。
民放連は、同意見募集に対して、8月8日に民放連意見を提出した。省令については、NHKのインターネット配信の必要的配信業務と任意的配信業務それぞれについて、費用の規模と明細などをできる限り分かりやすい形で国民視聴者に対して公表する必要性を指摘した。また、ガイドラインについては、民放の求めに応じ、TVerやradikoに対してより積極的な姿勢で協力することをNHKの業務計画などに明記して遂行するよう求めたほか、「任意的配信業務が過大な費用を要するものではないこと」を認可要件とし、費用上限を定められることとした審査基準を妥当と評価した。
7月12日開催の総務省「公共放送WG」第23回会合では、これまでのガイドラインで示されていたNHKの他の放送事業者に対する協力に関する記述が今回削除されたことについて構成員から質問があり、総務省担当者から、改正放送法上、必須業務に関する部分で民間放送事業者が行う配信業務に協力することを努力義務とし、任意業務での協力義務は外れたことから、ガイドラインの記述を削除したと説明したうえ、「総務省としても、地方向け番組の配信、民間プラットフォームとの協力はもちろん必要なことだと思っている」と回答していた。
意見募集の結果を受けて、省令およびガイドラインが決定すれば、NHKは9月にも業務規程を届出・公表する見込みだ。また、必要的配信のうち例外的にNHKが配信しなくてよいものについては、別に総務大臣から指定される。
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