前回に続き、この春のローカルテレビ新番組を紹介する。今回はプライム・深夜帯。過去にさかのぼってエリアの魅力を掘り起こしたり、視聴者との身近さを重視する企画など趣向はさまざま。また、他エリアにも目を向けた番組も登場した。
地域の特徴や歴史にフォーカスするのはローカル番組の重要な役割の一つだ。信越放送「SBCドキュメンタリー」は、毎週水曜19時からの「SBCスぺシャル」が放送開始30年の節目となることから、過去の番組に再び光を当てようと立ち上げた。県内の社会的なテーマを扱い、民放連賞などのコンクールで評価された番組を選んでオンエアしている。この間、「鶴と亀とオレ」(=写真㊤、2016年)、「かあちゃんのごはん」(17年)、「消えた 村のしんぶん~滋野村青年団と特高警察」(18年)といった秀作を放送した。
和歌山の活気溢れる古い写真や映像から、"あのじゅう(時分)"の記憶をたどるのはテレビ和歌山「あのじゅうよ〜」。時代を問わず、和歌山の過去の写真、映像を、エピソードも含めて番組サイトで募集している。昭和を生きた人には懐かしく、平成生まれには新しく見える―そんな場所や人の物語と思いを届ける。
岐阜放送の情報番組「めっちゃぎふわかるてれび」は、SNSや県民の情報に基づいてエリアの魅力を検証するとともに、学校のスーパースターなどを紹介している。ふるさとの未来を担う視聴者に気軽に参加してもらい、身近な自慢をアピールすることで県民の共感="めっちゃわかる"の輪を広げていくことを目指す。人気アニメなども放送している金曜夜という時間帯を通じて、幅広い世代の視聴を図る。
札幌テレビ「真夜中のイイね♡」は、週末に行きたくなる場所や食べたくなるものをゆるく紹介する情報バラエティだ。出演は、SNSの総フォロワー数が100万を超えるインフルエンサーや、道内在住のモデルたち。公式インスタグラムではオフショットなども発信し、道内の"イイね"を提案する。
テレビ宮崎のロケバラエティ「蛙亭イワクラ使節団~伊藤と肥満とサイダーと」は、宮崎県小林市出身のイワクラ(蛙亭)をメインに、人気お笑い芸人らが県内の"よかとこ"を探訪していく。同社のオリジナルドラマ「ひまわりっ〜宮崎レジェンド2」で連携した小林市に声をかけ、市の魅力発信プロジェクトの一環としてスポンサーに付いてもらい、県外発信にも挑む。
エリアの枠に縛られないテーマ選びや切り口を持った番組も。4シーズン目となるテレビ愛知のショートアニメ「八十亀ちゃんかんさつにっき 4さつめ」は、それぞれ愛知、岐阜、三重、東京出身の個性的な高校生4人を通じて、名古屋や中京圏の方言、文化、県民性に触れることができるコメディ。地元をテーマとするアニメを通じて地元を盛り上げようと企画された。登場するキャラクターの出身地は静岡や関西に広がり、今回は埼玉、千葉、神奈川の関東勢も参加し"ご当地バトル"を展開する。地元企業からタイアップの要望が寄せられるなど作品は浸透しつつあり、番組サイトには企業向けの問い合わせフォームも設けている。
三重テレビ「にっぽんの道」は、日本各地を結ぶ街道を行き交う人や物の物語を見つめ、日本人と道について考える教養番組。初回は「奥の細道」の旅を終えた松尾芭蕉とお伊勢参りを取り上げた。大型自社制作番組の第10弾との位置づけで、年明けまでに全10回の放送を予定。他の独立局などでもオンエアしている。
CBCテレビの「歩道・車道バラエティ 道との遭遇」も、総距離約128万㎞あるという全国の道をテーマに選んだ。険しい道、未完成の道、地下道......。さまざまな道の特集本が刊行されたり、ただ道を走るだけの動画が人気を博す中、面白い道に特化したVTRをお笑いコンビのミキが楽しむ。個性的な「未知(ミチ)なる人」が毎回登場し、道をアテンド。地元民やグルメなども紹介するロードバラエティをうたう。