地元の魅力を発信 観光客やUターンを狙う(ローカル局制作ドラマ HTB、NCC、TSK)

編集広報部
地元の魅力を発信 観光客やUターンを狙う(ローカル局制作ドラマ HTB、NCC、TSK)

年末から現在にかけてローカル局が制作し、地元で放送したドラマの事例を紹介する。今回は、北海道テレビ、長崎文化放送、TSKさんいん中央テレビの3局。


北海道テレビ(HTB)は、開局55周年ドラマとして『弁当屋さんのおもてなし』(土、10・40―11・10)(=写真㊤)を2月25日(土)から4週連続で放送している。

喜多みどり氏原作の、札幌が舞台の人気グルメ小説を実写化。「食」をテーマに、お弁当で「おもてなし」をしていくという、相手を思いやる心を描いた作品だ。北海道の食文化の魅力を伝えるとともに、北海道を訪れる人、興味のある人を心から歓迎する気持ちを込めて本作を手がけた。

HTBが制作する連続ドラマは、開局50周年時の『チャンネルはそのまま!』に続いて、2作目となる。本作の制作チームは、深夜バラエティやゴールデン特番など制作する総合制作部を中心として、夕方の情報番組のディレクターからイベント事業部のプランナーまでさまざまな部署で構成され、社外含め総勢50人程度。そのうち4割ほどは『チャンネル――』にも携わっていた。シリーズ化を見据えて、社内にセットを組んでいるという。

エグゼクティブプロデューサーを務めたHTB編成局長の橋本秀利氏は、「連続ドラマは、地元の風土や文化の魅力を継続的に発信できる。北海道を舞台にしたドラマの代表作品の一つとなって、国内外からロケ地巡りをする観光客が増えてほしい」と語る。

全話放送後の3月19日からは、ネットフリックスで配信される。

長崎文化放送(NCC)は、ショートドラマ『転生みそ五郎どん~ここは異世界?南島原~』を2022年12月23日から23年2月17日にかけて、毎週金曜日の23・10から放送した。3月4日(土)の10・30―11・00に総集編を放送する。

東京に住むさえないサラリーマンがある日突然、長崎県・島原半島に古くから伝わる昔話に登場する巨人「みそ五郎」に転生し、南島原市の問題を解決していくコメディドラマ。1話3分の全8話で、同市のユーチューブチャンネルで見逃し配信も行っている。

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<主演はケンドーコバヤシ氏

本ドラマは、"南島原市ファン"の獲得などを目的とした同市の「総合的シティプロモーション推進事業」の一環。NCCにとっては初の本格ドラマ制作で、制作会社のポリバレント社とともに行った。同市が募集した市民エキストラ約50人も撮影に参加している。ロケ中にはテレビ東京の『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』の撮影と遭遇し、同番組の放送で紹介されたという。

企画を担当したNCCメディアビジネス局本社営業部の帯屋洋平氏は、「魅力を発信し、地域に貢献することができたのではないか。ユーチューブを通じてドラマがより多くの人の目に触れ、地元の人に誇りに思ってもらうとともに、南島原市に来たいと思う他県や市外の人が増えていくことを期待している」と述べた。

熊本は長崎と有明海をはさんで地理的に近く、歴史的なつながりもあることから、総集編は熊本朝日放送で2月23日に先行して放送した。NCCの放送直後には、ユーチューブで見逃し配信も行う。

TSKさんいん中央テレビ(TSK)は、22年12月26―28日に3夜連続で『しまねがドラマになるなんて!リターンズ』を放送した。1話6分の全3話で、放送直後にTVer、ユーチューブで配信も行った。

島根県内の中高生が「将来も島根で暮らしたい」と思うことを目的とした同県のイメージ発信事業の一環として、21年10月から12月にかけて放送した『しまねがドラマになるなんて!(しまドラ)』の第2弾。前作から6年後の世界を描いた。都会との対比を盛り込むため、東京でのロケも実施。島根県内の撮影では、100人以上の県民エキストラが参加した。タイトルの"リターンズ"は「再び放送される」ことと「Uターン(リターン)」をかけたという。TSKが制作するドラマとしては前作に続いて2作目となる。

<【しまドラリターンズ】第一夜「島根をかける少女」

企画プロデュースを担当したTSK執行役員営業局エリア営業統括本社営業部長の田邊東明氏は、「地元の学生はもちろん、県外に進学・就職した方もいずれは島根県にUターンしてほしい願いを込めた。帰省時に見てもらうため、年末に編成した」と語った。

なお、前作は、多くの中高校生に見てもらうことを目的としてDVD化した。DVDは島根県内の公立中学校・県立高校に配布、島根県立図書館・市町村立図書館などで貸し出すとともに、地元のレンタルショップでも取り扱ってもらった。本作のDVD化は、現時点では未定とのこと。

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