2025年春のテレビ改編②(プライム・深夜帯) 地域にフォーカスして、生放送や地元出身者が伝える

編集広報部
2025年春のテレビ改編②(プライム・深夜帯) 地域にフォーカスして、生放送や地元出身者が伝える

民放onlineは今春の新番組について、民放連会員の地上テレビ127社とBSテレビ13社にアンケートを行った。地上テレビの自社制作ローカル新番組と衛星放送の自社制作新番組の回答から、今回はプライム・深夜帯を紹介する。地域の魅力や情報を伝える生番組や地元出身者が伝える番組が目立った。

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生放送で地元の情報を発信 

テレビ新潟放送網がスタートさせた『新潟炊きたてバラエティー おにぎりハウス』(金、19:0019:56=写真㊤)は、同社初のゴールデン帯の自社制作レギュラー番組。「人」「モノ」「グルメ」 など、さまざまな"新潟産"の情報を詰め込み、生放送で届ける。2022年夏ごろから金曜19時台でのレギュラー番組制作に向けて準備に着手、同枠で単発番組を制作してきた。そこで生まれたコンテンツについてもブラッシュアップしてVTRや生中継企画に活用していくという。平日夕方の情報番組『夕方ワイド新潟一番』や『新潟一番サンデープラス』のスタッフが本番組も担当している。44日の初回はマツコ・デラックスさんをゲストに迎えて放送した。プロデューサーを務める報道制作局報道制作部の道場拓哉さんは、「"いま"を共有できる生放送のメリットを最大限生かせるよう制作していく。将来的にはリアルイベントの実施を目指し、新潟県民の皆さんと直接コミュニケーションを図りたい」と語った。

テレビ和歌山『わかラ部』(金、18:3020:30、=写真㊦)は、これまでニュースを織り交ぜながら18時から1930分まで放送していた『わくわく編集部』に替わって始まった生放送の情報バラエティ番組。前番組で内包していたニュースは別番組に独立させたうえで、放送枠を2時間に拡大した。「わかラ部調査隊」と題したコーナーでは、若手ディレクターが自らカメラを手に地域の方々とのふれあいを通じて、魅力的なスポットや人物、文化・歴史などを取材して届ける。番組セットは和歌山に縁のあるアーティストが制作、社内外で大好評を得ているという。番組タイトルについてプロデューサーの土橋一輝・報道制作本部局長は、「和歌山への愛着や関心を深める"部活動"のような活動を通じて、地元に対する思いを育むと同時に、魅力や可能性にも気づいていける、そのような思いを込め"わかやまラブ"な""という言葉を組み合わせて名づけた」と明かした。

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地元の出身者が"伝える"

静岡県出身のお笑い芸人・ハリウッドザコシショウ(ザコシ)さんが、企画・構成段階から入り、「地元で冠番組を持てたらコレをやりたい!」と考えていたことを詰め込んだ静岡放送『冠ザコシの冠冠大冠』(毎月最終土、24:2824:58=写真㊦)。東京支社の20代社員が、ザコシさんとバラエティ番組を作れないかと思い立ち、所属事務所を直接訪ねたことがきっかけ。202411月から計5回放送し、好評を得たことからレギュラー化に至った。番組コンセプトを決める際にザコシさんが話した「え?こんなことをテレビでまだやってんのか!と驚かれる番組にしたい」を目指している。プロデューサーを務める編成業務局コンテンツマネジメント部の増田哲也さんは、「静岡が生んだ唯一無二の芸人の力を借りて、ローカルのテレビにしかできないことを追求する番組であり続けたい」と話した。

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テレビ神奈川『ココホリケンケン』(金、22:3023:00=写真㊦)は、お笑いトリオ・ネプチューンの堀内健さんが、相棒である番組ディレクターとともに神奈川各地を散歩する"ホリケン流お散歩バラエティ"。「ココ掘れワンワン」とその街の素敵なところを探して、掘って花を咲かせる。堀内さんは横須賀市出身で、普段から同社の番組を視聴しているといい、また高校時代には同社の音楽番組の公開収録でテレビ出演していたこともあるなど、縁が深かった。いつかは出演してもらいたいという思いがこのたびかない、本番組の制作に至った。番組を担当する遠藤幹彦・編成局次長兼編成部長兼制作推進部長は、「ロケはホリケンさんの嗅覚で進行するので、予定どおりいかないこともある。それがかえって予測不能な番組の魅力につながっているかもしれない」と話した。

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京都放送『京暮士門(きょうくらしもん)』(金、22:0022:30)は、京都府出身でタレントの大倉士門さんが、府内のいろいろな場所へロケに行き、人・まち・モノとさまざま魅力を発信する。大倉さんが数年前から同社の特別番組にゲスト出演する中で、京都愛の強さや地元でレギュラー番組を持ちたいという気持ちを知り、今回実現した。番組タイトルは、「京都に暮らす皆さんに向けた情報発信」という意味と、都内在住の大倉さんが、いつか地元の京都で暮らしたいという思いがあることから、「京都に暮らす(暮らしたい)士門」という意味が込められている。「大倉さんには"低予算"という内情をお伝えしたうえで快諾いただいた」と話すのは番組を担当するコンテンツ制作部の見原由梨さん。「そのため、衣装は自前でお願いしていて、タレントで大倉さんの妻の池田美優さんと一緒に選んでもらっている。衣装も注目してほしい」とコメントした。

テレビ北海道EXITのハッケン北海道!』(土〔月2回〕、19:0019:54)は、りんたろー。さんと北海道出身の兼近大樹さんによるお笑いコンビEXITが、テーマに基づき、北海道の知られざる情報を発見していく。さまざなま分野の裏側への潜入や流行の最新スポットを巡り、EXITならではの目線で北海道の新しい魅力を届ける。

食やライフスタイルを通じて発信

BS日本(BS日テレ)『なおみ農園』(木、22:0022:30=写真㊦)は、地方移住・スローライフ・田舎暮らしなどのライフスタイルをコンセプトにした番組で、15年以上前から故郷の大分県でスローライフを実践している女優の財前直見さんとそのファミリーにフォーカス。202412月から密着を開始し、2回の特番を経てレギュラー化された。自給自足レベルの本気"な部分と無理はしすぎず文明の力も活かす"部分がうまく調和した財前家の日常を届けることで、視聴者が自然にまねや、できることから取り組んでみたくなる番組を目指している。財前家の生活はすでに地上波を含めて多くのメディアで取り上げられていることから、BSらしい世界観を意識してじっくり、のんびり、贅沢に紹介していく。プロデューサーを務める編成制作局制作部の千葉大介さんは、「自然相手なので予想外のハプニングなども起こる。ありのままを見せることがこの番組の魅力となるよう工夫していきたい」と語った。

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岡山放送『カンパイ~もしも乾杯で岡山が変わるなら~』(毎月最終水、24:5025:05)は、岡山の将来を支える地元の若者たちが抱く思いや未来への期待について、本音で語る番組。本音トークが出るのは仲間との楽しい食事の席という考えから、市内の飲食店を選定し、そこで収録している。制作は地元でYouTubeコンテンツを手がけるクリエイターに依頼、通常のENG収録ではなく、一眼レフカメラやGoProなどを使用している。また、飲食店の雰囲気が出るように演出しているという。番組タイトルは、「○○にカンパイ!」という発声を入れたいというディレクターの思いを受け、このタイトルになった。番組プロデューサーを務めるコンテンツ制作部の上岡元さんは、「若者たちの声と岡山や飲食店の魅力発信に期待している」と述べた。

札幌テレビ放送『どさんこクッキング』(月、25:2925:59)は、平日夕方のワイド番組『どさんこワイド179』の人気コーナー、料理研究家・星澤幸子先生の「どさんこ☆キッチン」から、旬のレシピをピックアップして届ける。チューリップテレビ『寿司といえば、富山story』(第24日、21:5422:00)は、ストーリーテラーの石原良純さんが寿司にまつわる物語をとおして"富山の寿司"の魅力を伝える番組。寿司を入口に、富山の食や酒、器をはじめとした工芸なども紹介する。

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