民放onlineは今春の新番組について、民放連会員の地上テレビ127社とBSテレビ13社にアンケートを行った。地上テレビの自社制作ローカル新番組と衛星放送の自社制作新番組の回答から、今回は午前・午後帯を紹介する。子どもや若者に向けた番組、出演者の個性や未来を意識した番組が並んだ。
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子ども・若者に向けて
テレビ北海道『ぷうぷうぱっ!』(月~金、7:59~8:05、=写真㊤)は、北海道生まれの乳幼児向け知育番組。新たな放送外収入を模索する中で、テレビ東京の『シナぷしゅ』のノウハウを借りて制作に至った。雪の妖精の赤ちゃんをイメージしたキャラター「うぱっ」をはじめ、"もじ"、"かたち"、"いろ"、"おと"など五感を使って楽しんでもらえるコンテンツを届ける。撮影では北海道を感じられるように場所や季節を意識するとともに、番組を見て、家でも子どもがまねできるように身の回りにあるものを活かしたコンテンツ作りを意識しているという。番組タイトルには、想像力が「ぷうぷう」膨らんで、「ぱっ!」と開いてほしいという思いが込められている。2月に放送した特番は30分だったが、レギュラー化で6分に。プロデューサーを務める報道制作局制作部の棚原直也さんは「子どもの集中力の持続性やショートコンテンツという特性も含めて見てもらいやすいので継続したい」と語った。
週替わりで登場するタレントが憧れの職業を1日体験し、そのVTRを小学生たちが見る東京メトロポリタンテレビジョンの『キッズが見てる!もしもタレントじゃなかったら』(日、18:00~18:30、=写真㊦)。憧れの職業を体験しているタレントの姿をとおして、新しい夢や職業に出合える「未来を考えるきっかけになるバラエティ」を目指している。番組は"ただの職業体験番組"とならないよう"三層構造"の形式に。タレント、小学生に加えて、両者につっこみやコメントを入れるナレーションをお笑いコンビ・令和ロマンの松井ケムリさんが担当している。表情やつっこみが活きるようにコメント位置の細かな調整を重ねているという。番組チーフプロデューサーで制作局制作一部の藤田将平さんは、「タレントの普段見られない"人間味"や"ギャップ"といった意外性と違和感を大切にしながら、より幅広い世代に届く番組にしていきたい」と話した。
テレビ愛媛の『#青春にエール』(日、11:45~11:50)は、愛媛県内の中高生を応援する番組。部活動や行事、スポーツの注目選手を紹介しながら10代の若者を中心に"青春"を届ける。
出演者の個性を活かす
青森朝日放送『王林の産地直送☆日本最高‼』(第1・3土、15:55~16:25、=写真㊦)は、青森県弘前市出身のタレントの王林さんの初の冠番組。マネージャーの小野悠さんとともに軽トラに乗って、青森の魅力を再発見する旅に出る。同社では、王林さんもかつて所属していたご当地アイドル「りんご娘」が軽トラに乗って青森県内を走り回る『りんご娘の産地直送☆青森最高』が2009年から放送されていた。同番組は終了したが、王林さんが全国区になった今、番組を復活させたいという芸能事務所「リンゴミュージック」の樋川新一社長と青森県のために仕事がしたいという王林さんの思いを受けて"復活"した。プロデューサーを務める報道制作局制作部の田澤淳さんは、「全国区の番組ではあまり見られない王林さんの素朴な魅力を出したいと思い、"軽トラ"で衣装の"つなぎ"を着てマネージャーと共演という演出になった。ナレーションもなくゆるい雰囲気で、ありのままを映し出すことを意識している」と語った。
東京と千葉の二拠点生活を25年以上続けている女優の黒谷友香さんが、理想の庭作りに挑戦する日本BS放送(BS11)『黒谷友香、お庭つくります』(土、10:00~10:30)。2024年9月に放送した特番が好評を得て、レギュラー化となった。黒谷さんが、日本各地で花が美しく咲き誇る庭を訪ね、庭づくりに携わる人々とのふれあいを通じた人間ドキュメンタリーの要素も取り入れる。また、ライフスタイルのヒントを届け、視聴者にとって"緑ある豊かな暮らし"の魅力を伝えることに期待を寄せる。「訪問先の方々の人生観や花への思いを丁寧に描く一方で、黒谷さんが自ら体験し学ぶリアリティを大切にしている」とコンテンツ開発部担当プロデューサーの太田勝士さん。番組の進行に応じて「お庭づくりの進捗」のほか、DIYや料理、道具紹介など幅広い実践も取り入れていることから、「撮影や構成を工夫している」と明かした。
BS日本(BS日テレ)『吉川鉄道研究部』(土、18:54~19:00)は、鉄道好きのお笑いコンビ・ダーリンハニーの吉川正洋さんが、超マニアトークをはじめ、「おすすめスポット」など鉄道マニアから鉄道初心者まで楽しめる情報を紹介する。
未来へつなぐ
サガテレビ『オラキオスポーツ』(土、18:30~19:00、=写真㊦)は、2024年に佐賀県で開催された国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の精神を25年以降も引き継いでいくという思いのもと、佐賀県出身のお笑い芸人・オラキオさんがスポーツの新しい魅力を届けするスポーツバラエティ番組。番組の趣旨説明やタイトルコールは、ナレーターの服部潤さんが担当している。スポーツの力を活かした人づくり、地域づくりの取り組みなどにも触れながら、スポーツを「する・観る・支える」人々にスポットを当て、より多くの県民に出演してもらうことを考えているという。番組を担当するメディア戦略局情報コンテンツ推進部部長の片渕浩正さんは、「取り上げるスポーツを十分に理解、リスペクトして、敬意を持って取材している。オラキオさんも正面からガチ体験をしていただきながら、自然と笑いの起こる現場を心がけている」と述べた。
広島ホームテレビ『赤ヘルの記憶』(火、5:45~5:50)は往年の広島東洋カープの選手たちの輝かしい活躍を振り返るミニ番組。数々の名勝負、劇的な逆転勝利、ファンの心に刻まれた感動の瞬間を当時の貴重な映像やインタビューとともに放送し、カープの誇りと伝統がどのように生まれ、そして受け継がれてきたか、その軌跡を振り返る。
夕方帯の新たなニュース番組
CBCテレビは『newsX』(月~金、18:15~19:00、=写真㊦)がスタート。番組タイトルにあるXには、さまざま な情報が複雑に絡み合う今の社会における課題への解、視聴者とニュースが出合う場所であり交差、さらに「無限の可能性」「永遠」「未知数」の要素が込められているという。「その日、ローカルで起きたニュースをローカル局が真正面から全力で取材してしっかり視聴者に届ける。情報があふれかえる今だからこそ、その原点に今一度立ち返る番組が必要だと考え立ち上げた」と番組を担当する総合編成局編成部の松本年弘さん。「地元のニュースや特集を伝えるという意識が、社内では今まで以上に高まっている」と話した。
青森朝日放送『スーパーJチャンネルあおもり』(月~金、18:15~19:00)は、県内ニュースを中心に青森県民に「今」知りたい情報を熱く伝える。ニュース項目は同社のウェブサイトでも配信している。群馬テレビ『ニュース×情報 がるがる』(月~金、18:00~18:45)は、「群馬がつながる ひろがる」をコンセプトに、毎回ゲストを迎え、グルメ情報なども取り入れる。テレビ和歌山は『WTV NEWS6』(月~金、18:00~18:25)をスタート。県内各地の出来事をニュースデスクの解説や記者報告などを交えて届ける。