放送文化基金の2024年度助成対象決まる イベント事業(後期)は民放を含め13件を採択

編集広報部
放送文化基金の2024年度助成対象決まる イベント事業(後期)は民放を含め13件を採択

放送文化基金の2024年度助成対象が2月5日に決まり、3月7日に都内で贈呈式が行われた。「技術開発部門」と「人文社会部門」に加え、本年度から「イベント事業部門」を新たに設けた。合計41件の対象事績(助成金額の総額は6,905万円)のうち、33人の代表者が同基金の濱田純一理事長から目録を受け取った(=冒頭写真/左は読売テレビ放送の門上由佳プロデューサー)。対象事績の詳細はこちら(外部サイトに遷移します)から。

技術開発部門には23件が申請。審査を経て、
 ▶UHDディスプレイを指向したフルカラー狭帯域発光有機ELの開発(安田琢磨・九州大学高等研究院教授)
 ▶災害報道を自己と関連づけて理解するための基盤となる神経機構(月浦崇・京都大学大学院人間・環境学研究科教授)
――など8件が決まった。

37件の申請があった人文社会部門からは、
 ▶日本の若年世代の放送ジャーナリズムに対する意識の社会学的研究(轟亮・金沢大学人間社会研究域人文学系教授)
 ▶AIによる放送コンテンツの制作と配信をめぐる法的・倫理的課題の解決に向けた調査研究(蔡万里・豊橋技術科学大学総合教育院准教授)
――など15件が選ばれた。

本年度から設けたイベント事業部門は前期・後期の2期にわけて申請と審査が行われ、前期分の助成対象は24年7月に5件が決まっており(既報)、一部の事業は実施に移されている(文末の注記参照)。後期は30件の申請から13件が選ばれた。民放関係の事績は次のとおり(カッコ内は申請者)。

 ▶大阪・関西万博 災害映像の教訓を未来につなぐイベント・国際シンポジウム(大阪・関西万博 防災の未来設計図プロジェクト プロデューサー 木戸崇之=エー・ビー・シー リブラ ビジネス開発部長)
 ▶視聴覚障害鑑賞サポート・LGBTQ+支援施策 に取り組む音楽イベント(「音楽・社会・人」をつなげる音楽イベント『Grooving Night』 プロデューサー 門上由佳=読売テレビ放送 プロデューサー)
 ▶放送の未来を担う人材育成・交流事業(地方の映像クリエーター育成実行委員会 実行委員長 森内真人=青森放送 常務取締役制作局長)
 ▶若者とメディアは戦争をどう伝えるかを考えるワークショップ(戦争と平和語り継ぐワークショップ実行委員会 委員長 軸屋忍=鹿児島放送 代表取締役社長)
 ▶報道実務家フォーラム 2025 及びそれに関連する一連の研修イベント(報道実務家フォーラム 理事長 瀬川至朗=早稲田大学教授)
 ▶災害から命を守る放送とは?~NHK民放6局防災勉強会(NHK 民放6局防災プロジェクト 浜野高宏=NHK エンタープライズ プロデューサー)

助成対象に決まったプロジェクトは技術開発部門と人文社会部門が今年4月から来年3月までの1年間、イベント事業部門(後期)は3月から来年2月までに実施し、報告をまとめる。

贈呈式に先立ち成果報告会も開催され、過去に助成したプロジェクトから技術開発と人文社会各1件、イベント事業で前期に採択された2件の成果報告が行われた。

★★成果報告会.jpg

<イベント事業で2024年度前期に採択されたプロジェクトを
北海道放送の山﨑裕侍さん㊧と新潟放送の高橋紘子さん㊨が報告>

2025年度イベント事業部門は4月から申請スタート

なお、民放各社も申請できるイベント事業部門は2025年度前期の申請を4月1日から始める。25年10月から26年9月の間に実施予定のメディア文化の向上に資するイベント・事業が対象。「始まったばかりで審査する側もまだ暗中模索だが、民放各社からはあっと驚くような申請をお待ちしている。奮ってご参加を」と同基金の梅岡宏専務理事は話している。詳しくはこちら(外部サイトに遷移します)を参照。


【注記】
民放onlineはイベント事業部門の助成を受けたプロジェクトの実施状況を随時、紹介しています。これまでに以下のご寄稿をいただきました。今後も不定期で掲載していく予定です。ぜひご一読ください。

局を超え、継承し、切磋琢磨を 「北海道ドキュメンタリーワークショップ」が目指すもの(山﨑裕侍)
取材の喜び、表現することの意味語り合う 「九州沖縄メディア・フォーラム」開く(神戸金史)

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