「北日本制作者フォーラムinあきた」(2022年度) より良い取材・制作のために挑戦を

編集広報部
「北日本制作者フォーラムinあきた」(2022年度) より良い取材・制作のために挑戦を

各地の放送局と放送文化基金が共催する「制作者フォーラム」が、昨年11月から全国5地区(北日本、北信越愛知・岐阜・三重中・四国九州・沖縄)で相次いで開催された。5地区が揃って開催されるのは2018年以来。フォーラムでは、制作者同士の交流の場を設けることを目指し、若手制作者によるミニ番組コンテストと、ゲスト審査員のトークイベントが行われた。民放onlineでは各地区の模様を取材しており、5地区目の今回は北日本を取り上げる。

なお、各地区から制作者が集う「全国制作者フォーラム」は2月18日(土)、東京の如水会館で行われる。


「北日本制作者フォーラムinあきた」(2022年度)は1月26日、秋田市のにぎわい交流館AUで開かれた。1997年開始の「みちのく映像祭」が前身で、2001年から制作者フォーラムに。当日はリアル開催を予定していたものの、寒波の影響によりリモート開催に切り替えられ、会場の模様はYouTubeで配信された。

ミニ番組コンテスト

北海道・東北エリアの民放とNHK各34局のうち、29局から82本が出品された。1局あたり3本までエントリーが可能で、10分以内にまとめられた夕方ニュースの特集などが多数を占めた。同地区では他の道県の番組を審査する予選を実施しており、例えば今回は秋田各局の番組の審査を岩手の幹事が担当。この結果、19局21本が選ばれた。難病と闘う人を追った企画や、老いや死を考えるリポート、東日本大震災後を生きる人々を描いた特集などが並び、予選を通過した制作者が出品番組をアピールした。

審査員は、ゲストの石川テレビ・五百旗頭幸男記者に加え、北日本各地の幹事ら7人が務めた。審査員からは、「取材者の思いが強すぎると視聴者に伝わらない。過剰なBGMやナレーションは避け、作り手のプロとして冷静に引いて見なければならない」「現場ではなく事後にインタビューをしてしまっては、熱量が下がってしまう」「構成が平板なため、仕掛けやヤマがあるとより良かった」といったアドバイスが相次ぎ、制作者らはより良い取材、表現手法を学ぼうと熱心に聞き入っていた。

審査員が採点で受賞作品を決定。全国制作者フォーラムに招かれる3作品は次のとおり。
▷最優秀賞:NHK仙台放送局・助川虎之介氏=『家族の空白を見つめて~高齢者施設 入居者と家族の周辺~』
▷優秀賞:北海道テレビ・鈴木麻友氏=『葉月ちゃん2年ぶりの通学 新たな挑戦』
▷優秀賞:北海道放送・泉優紀子氏=『LGBTカップルの妊娠 小さな命のメッセージ』

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<リモートによるミニ番組コンテストの模様>

トークイベント

続くトークイベントでは、秋田朝日放送の高田美樹、秋田放送の田村誉主在両アナウンサーが五百旗頭氏から番組制作の背景などを聞きだした。

チューリップテレビに入社後、営業を経て記者や夕方ニュースのキャスターを務めた五百旗頭氏。富山市議らの不正を暴いたドキュメンタリー映画『はりぼて』は、石川テレビに移籍した後の2020年夏に公開された。「報道機関が正義、議員が悪という構図はありがち。僕らに力がないために、不正を許してきた責任もある」と、市政だけでなくメディアのあり方も問いかける描き方にした狙いを語った。

地域最後発の局で規模が小さく、編集担当もいない悔しさを感じていたことから、「ローカル局は良い意味で『自分は強い』といったおごりやプライドがないため、弱い立場で番組を作れる。これはすごいパワーにもなり得る。『エリア内の老舗に負けないぞ』という下剋上の精神でやってきた」と、逆境をばねに取り組んできた姿勢を振り返った。

また、受賞作品の発表後には、自身も30代半ばで北信越制作者フォーラムに番組を出品した経験を吐露。「それなりに経験を積み、舞い上がって自信満々だったが、見事に酷評された。全然できていない、一からやり直そうと素直に思えた。今日は厳しい指摘もしたが、その悔しさが良い取材や番組制作につながる。僕もプレーヤーとして負けないようにがんばるので、どんどん挑戦を続けてほしい」と、若手制作者を鼓舞してフォーラムを締めくくった。

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<トークイベントの模様(中央が五百旗頭氏)>

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