ホワイトハウスのAP通信排除で米連邦地裁が当初のAP支持を覆す

編集広報部
ホワイトハウスのAP通信排除で米連邦地裁が当初のAP支持を覆す

米ホワイトハウスとAP通信の間で取材・報道の権利をめぐる闘いが続いている。
ことの始まりは、トランプ大統領が1月の就任直後に「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改称する大統領令に署名したこと。APはこれに従わず「メキシコ湾」を継続使用。その報復としてホワイトハウスは2月14日、ホワイトハウス内での代表取材からAPの記者を締め出した(既報)。これに対してAPがホワイトハウスを訴えていた。

4月8日、ワシントンD.C.地区連邦地方裁判所のトレバー・マクファーデン判事(2017年にトランプ大統領が指名)は「言論・表現の自由を定めた合衆国憲法修正第1条に基づき、意見の相違を理由に政府はジャーナリストを特定の政府イベントから締め出してはならない」とホワイトハウスにAP通信への取材禁止措置を撤回するよう命じた。

しかし、ホワイトハウスはこれを無視。控訴の可能性を示唆する一方、同15日には直ちに▶ホワイトハウスでの代表取材記者枠から(APを含む)通信社枠を永久に排除する▶これらの通信社は今後、印刷媒体の一部とみなす▶印刷媒体の記者が交代制で取材できるローテーションの一部として参加を認める――と見直す方針を提示した。AP通信は「通信社を差別するのは違憲」としてあらためて同地裁に当初の判決を維持するよう訴えたが、同18日、同じマクファーデン判事は「これはAPだけを差別したものではない」として退け、前週に出した暫定判決をこれ以上ホワイトハウスに強要しない姿勢を明らかにした。米メディアによると、同判事は「微に入り細をうがつようにホワイトハウスを管理しようとは思わない。しかし、APが引き続き冷遇されるなら深刻な問題。その場合はしかるべき措置を取らなければならない」と話しているという。

ホワイトハウスの代表取材は媒体ごとに枠があり、通信社、放送局(テレビ・ラジオ)、印刷媒体(新聞・雑誌等)、それに今年からソーシャルメディアのインフルエンサーやコンテンツクリエーター、ブロガー、ポッドキャスターといった"ニューメディア"もこの媒体枠に加えられた。通信社枠はAP、ロイター、ブルームバーグの3社で、これまでは毎日交代でそのうちの1社が代表取材に出席するという方法だった。ところが、この見直し方針の下では数多くの印刷媒体枠に通信社も含まれ、代表取材に出席できる機会が格段に減りそうだ。

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