「視聴覚障害者等向け放送に関する意見交換会」開く

編集広報部
「視聴覚障害者等向け放送に関する意見交換会」開く

民放連、NHK、障害者放送協議会は「視聴覚障害者等向け放送に関する意見交換会」を5月19日に東京都内で開催し、字幕放送、手話放送、解説放送の各テーマで放送局側から最新の動向を報告するとともに意見交換を行った。

字幕放送について、民放からは付与番組が着実に増え続けていることを報告したほか、在京キー局以外でも大型生番組への生字幕の付与やAIによる字幕生成導入に向けて検証を行っている事例を紹介した。

手話放送については、一部の局で手話を付与した新番組を開始した事例などを紹介。一方、クロストーク番組やテロップの多い番組への付与は難しく、財政面・人員面などで依然としてハードルが高いとして、セカンドスクリーンの活用や2024年度に全日本ろうあ連盟が行った手話通訳者育成事業を継続し、特に地方での手話通訳者の人材育成を進める必要があると述べた。

解説放送については、AI技術を用いた解説音声に関するアンケートを実施した局の事例などを報告した。また、民放連とNHKが3月に日本視覚障害者団体連合(日視連)と「解説放送に関する意見交換会」を実施したことも紹介した。

障害者側からはユニバーサルサービス放送の拡充に謝意が示される一方、字幕放送は局によって仕様が異なることから、規格の共有や統一などへの期待が述べられた。また、今年11月に開かれる東京2025デフリンピックを機に障害者の情報アクセシビリティの総合的な底上げを推進するよう要望も。手話通訳育成事業を継続するため、総務省に恒久的な予算化を求める声もあった。最後に「(全局が)総務省『放送分野における情報アクセシビリティに関する指針』の目標達成に近づいている状況を実感した」「障害のある人もない人も、同じ放送番組をともに楽しめる環境をつくりたい」との発言があった。

意見交換会は今回で8回目。総務省の研究会が2012年5月にまとめた報告書の提言を踏まえ14年から開催している。

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